帰ってきた町中華

あっという間に年が明けて半年が経とうとしてる。時間が過ぎるのが早すぎて、もう少しのんびり過ごしたいものです。

時間と言えば。20年くらい前に渋谷並木橋の交差点のところに「有昌」(ゆうしょう)という町中華があった。通い出した頃、暑い夏の日だったので冷やし中華を注文した。「カラシください」と言うと、「うちはラー油で食べるんだよ」と。そう教えてくれたお母さんはズバズバものをいう人だったので初めは怖かったけれど、この会話がきっかけで少し安心したのを覚えている。黙々と料理を作るお父さんと、2人でやっているお店だった。それからラー油で食べる有昌の冷やし中華が毎年の夏の楽しみになったし、他にもしいたけそばが絶品で、家族や友達とちょっと寄るのにぴったりだったのでよく通った。

ビルの建て直しか何かでお店が無くなった後も名残惜しくて何度も話題にしていたら、一緒に行ったことがない友達でも有昌のことを知っている人もいて、密かなファンが多いお店だったことを後から知った。その後、「息子さんが違うところに間借りして有昌を時々やってる」と聞いては、わざわざ冷やし中華狙いで行ったりもしたけど、一時的な営業でまたあの味がしばらく食べられない日々。
そしてついに!一年ほど前に有昌が再開した!お父さんもお母さんも亡くなられた後だったけど、気さくな息子さんが始めたお店は、しいたけそばも冷やし中華もあの頃の味のまま。感動。梅雨入りのこのジメジメな時期にはやっぱり有昌の冷やし中華だなぁ〜。今度はお店が無くならないようにせっせと通おうと思います。

体調崩しやすいこの時期くれぐれもご自愛ください。いい日曜日を。

わたしは「小学生って長いな。早く大人になりたい」と思っていたような子どもだった。念願の大人になって、「時間過ぎるの早すぎですね」って言葉をつぶやく回数の自己最多記録を、毎年更新している。あの頃の有り余っていた時間をいまにおすそ分けできたら、小学生のももも、大人のももも、どっちも嬉しいのにね。(もも)

にちようびのエビ
編んだり縫ったり、アクセサリーやリメイクお洋服を作る岩切エミとの連載よみもの。日曜日更新です。
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